アスリートに多い鉄欠乏性貧血とは？
鉄は体内で吸収されにくい性質がありますが、アスリートはトレーニングにより鉄の消費が多いため、鉄欠乏性貧血が起こりやすいとされています。練習量が多い、あるいは減量が必要になるアスリートに多い傾向があります。また、アスリートに限りませんが、月経が始まったり、身長が伸びている時期には鉄欠乏性貧血が起こりやすいです。
鉄欠乏性貧血が起こりやすいとされる種目
陸上長距離／バレーボール／体操／新体操／レスリング／剣道／空手／フィギュアスケート など
鉄欠乏性貧血の特徴的な症状は、動悸、息切れ、疲労感などです。記録が伸びなくなった、疲れやすくなった、持久力がなくなった、練習がつらくなった、などがみられる場合は鉄欠乏性貧血の可能性があります。気になる症状があれば、早めに血液検査を受けることが大切です。
鉄欠乏性貧血の予防と治療法は？
予防は、鉄が十分摂取できるバランスの取れた食事が基本です。鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」があります。非ヘム鉄は吸収率が低いため、吸収を助けるビタミンCやタンパク質と一緒に摂ると効果的です。なお、国際オリンピック委員会は、サプリメントによる鉄補充を推奨していません。
治療の基本は、鉄剤の内服です。内服では治療が難しいと医師が判断した場合は、鉄剤の静脈内注射を行います。しかし、鉄剤注射は、繰り返すと鉄過剰となり肝障害疾患を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。また、世界アンチ・ドーピング機構は、「正当な理由のない限り、静脈内への注射自体がドーピング禁止行為である」としています。医師の判断に基づき、正しい治療を行うことが重要です。
