トレーニング・男女の違い(運動の効果) トレーニング・男女の違い(トレーナビリティ)

トレーニングによる体力向上の可能性は男女で違う?

これまでの研究により、レジスタンストレーニング(※1)は、男女とも筋を肥大させ筋力を増大させることが知られています。男女に同じレジスタンストレーニングを一定期間行った場合のトレーニング効果を見た研究では、筋の肥大率や下半身の筋力に対するトレーニング効果に男女差はないという報告が多い一方、上半身の筋力に対するトレーニング効果は女性の方が高いという報告もあります。

しかし、これらの研究の多くは普段運動をしていない人を対象としているため、日常の生活習慣や初期の体力レベルが女性の方が低かった可能性があり、それらがトレーナビリティ(※2)に影響したとも考えられます。

※1 レジスタンストレーニング:「ストレングストレーニング」「ウエイトトレーニング」とも呼ばれる抵抗性の筋力トレーニング
※2 トレーナビリティ:身体の機能をトレーニングによって向上させることができる可能性

 

男性と女性では性ホルモンの分泌が異なるため、体格、骨格筋量、骨格筋の分布、体組成などに大きな違いがあります。そのため、男性の方が最大筋力や競技記録が高いことが確認されています。

また、さまざまな身体特性におけるトレーナビリティの大小は、トレーニングを積み重ねていく過程でも変化していきます。一般の人ではトレーナビリティがある身体特性も、高度に鍛えられたアスリートにはほとんど残されていない場合もあります。トレーナビリティに影響するさまざまな要因を考慮した上で、個々のトレーニングを計画する必要があります。

トレーニング効果は男女で違う?

筋肉に負荷をかけて行う「レジスタンストレーニング」は、男女とも筋肉を大きくして筋力を高めることがわかっています。身体の機能をトレーニングによって向上させることができる可能性を「トレーナビリティ」と言いますが、下半身におけるトレーナビリティは男女差がないというデータが多く、上半身では女性の方が高いというデータもあります。しかし、このデータは運動をしていない人を対象としたもので、多くの人では女性の方が体力レベルが低いことから、それが関係しているとも考えられます。

トレーニング計画で知っておくべきポイントは?

男性と女性では、性ホルモンのちがいのため、体格や骨・筋肉の量、体組成などが大きく異なります。男性の方が最大筋力や競技記録が高いのはそのためです。

トレーナビリティ(トレーニングで向上できるからだの機能の大きさ)は、からだの部位によりいろいろですが、トレーニングを積み重ねていく過程で変化していきます。いつも運動をしない人では、運動によるトレーナビリティが大きいですが、普段から身体を鍛えているアスリートでは、トレーナビリティがほとんど残っていない場合もあります。これらのことを考えたうえで、個々のトレーニングを計画する必要があります。

参考文献

  • Fleck SJ, Kraemer WJ 著, 長谷川裕 翻訳:レジスタンストレーニングのプログラムデザイン,ブックハウス・エイチディ,2007.
  • Roberts BM, Nuckols G, Krieger JW: Sex Differences in Resistance Training: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Strength Cond Res, 34(5):1448-1460, 2020.
  • 日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター 国立スポーツ科学センター監修/松林武生編,フィットネスチェックハンドブック 体力測定に基づいたアスリートへの科学的支援,大修館書店,2020.

関連ページ

「からだ/スポーツ医学」の記事を読む