男女における骨格の違いとは?
男女における骨格の一番大きな違いは、骨盤にあるといえます。女性は、妊娠や出産に対応できるように、男性に比べて骨盤の幅が広くなっています。そのため、骨盤の上前腸骨棘(A)と膝蓋骨の中心(B)と下腿の脛骨粗面(C)を通る線の角度(Q-angle:線ABと線BCのなす角度)が大きくなります。
上肢では、肘が内側に入る外反肘(がいはんちゅう:いわゆる猿腕)が多いのも女性の特徴としてあげられます。また、上肢・下肢にかかわらず、女性は男性に比べて全体的に関節の弛緩性が高い傾向にあります。
図. 運動器の性差
出典:日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター(JISS), 成長期女性アスリート指導者のためのハンドブック, 2014.
女性がトレーニングをする上での注意点は?
トレーニング応答(トレーニングに対する身体の反応や適応)において明確な男女差はないため、女性も男性と同じ方法論、プログラム、エクササイズを行うことに問題はありません。しかし、前述のように女性では、Q-angleが大きい、外反肘が多い、関節弛緩性が高い、という特性があります。トレーニング時の動作において、下記について注意しましょう。
Q-angleが大きい
膝蓋大腿関節の機能障害や、前十字靱帯損傷のリスクを高める膝関節の外反(knee-in)の動作を引き起こしやすくなります。そのため、特に片脚支持でのエクササイズ中はアライメント(※)に気をつけてトレーニングを実施する必要があります(図)。
※正しい関節や骨の配置
図. バスケットボールのボールキャッチの姿勢
出典:日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター(JISS), 成長期女性アスリート指導者のためのハンドブック, 2014.
外反肘が多い/関節弛緩性が高い
オーバーヘッド動作時に肘の外反ストレスが高まらないようフォームに配慮をしたり、肩関節の安定性を高めるために肩周囲筋(インナーマッスルなど)の筋力強化を行うなど注意が必要です。