上半身の筋力不足上半身の筋力不足

女性は男性より筋力が劣る?

一般的に、女性は男性よりも筋力が低いことがわかっていて、女性の全身の筋力は男性の6割程度です。これは下半身より上半身において顕著で、下半身の筋力は男性の2/3程度であるのに対し、上半身の筋力は約半分程度と報告されています。理由の一つは上肢の筋肉量の差です。体幹および上肢では、女性は男性に比べて脂肪が多く、筋肉量が少ないことがわかっています。この傾向はアスリートにおいても同様で、筋力による性差は下半身より上半身において大きくなります。

女性アスリートとトレーニング経験のない女性を比べると、女性アスリートの方が上腕の筋肉の断面積が大きいという報告があります。また、普段からトレーニングをしている男女を対象に筋力トレーニングを行った結果、トレーニングの効果は男女で差がなかったという報告もあります。これらのことから、上半身におけるトレーナビリティ(※)は、女性においても十分あると考えられます。

女性アスリートは、男性と比べて上半身が”弱い”とされていますが、上半身のトレーニングに積極的に取り組むことで、全身の動きが重要となるスポーツパフォーマンス向上に貢献できると考えられます。

※トレーナビリティ:身体の機能をトレーニングによって向上させることができる可能性

女子は男子より筋力が低い?

女性の筋力は、下半身では男性の2/3くらい、上半身はそれより低く、だいたい半分くらいとされています。これは筋肉の量がちがうからです。女性は、男性に比べてからだと腕(うで)で脂肪(しぼう)が多く、筋肉の量が少ないことがわかっています。アスリートでも、下半身より上半身の筋力で男女の差が大きいです。

上半身の筋力はトレーニングで増やせる?

女性アスリートとそうではない女性を比べると、女性アスリートの方が、腕(うで)の筋肉が大きいとされています。また、いつもトレーニングをしている女性が筋力トレーニングを行うと、そのあとのからだの反応は男性とちがいがなかったというデータもあります。トレーニングによって、上半身の筋力は上げられるといえます。

女性アスリートは、男性と比べて上半身の筋力が弱いとされていますが、上半身のトレーニングを行うことで、スポーツパフォーマンスを上げられると考えられます。

参考文献

  • National Strength and Conditioning Association. NSCAジャパン監訳:女性アスリートのためのストレングストレーニング. 1989. https://nsca-japan.or.jp/pdf/database/position-statement/ps_female_athletes.pdf
  • 石田良恵著: 体格と身体組成ー女性と男性の比較ー. 加賀谷淳子編, 現代の体育・スポーツ科学 女性とスポーツー動くからだの科学-, pp26-28, 朝倉書店, 1998.
  • 小堀(古屋)かおる著: 女性の筋の形態的特性と筋機能. 加賀谷淳子編, 現代の体育・スポーツ科学 女性とスポーツー動くからだの科学-, pp38,44,45, 朝倉書店, 1998.
  • エレン・J・スタウロウスキー編著,宮下充正日本語版監修,女性・スポーツ大辞典,pp93,西村書店,2019.
  • 金久 博昭: 筋量・筋力における性差.体力科学,65(1):43,2016.

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