子宮と卵巣のはたらきは?
思春期になると、女性の体内では妊娠できる身体への準備が始まります。子宮内腔を裏打ちする子宮内膜は、ホルモンの影響を受けて月経開始から排卵の時期に向けて少しずつ厚みを増していきますが、妊娠が成立しなければ子宮内膜は剥がれて体外に排出されます。これが月経血です。
子宮は、入り口となる子宮頸部と袋状の子宮体部で構成されています。左右の卵巣には卵子を含む卵胞があり、女性にとって大切なエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンを分泌しています。排卵後に卵巣から分泌されるプロゲステロンは、月経前の体調不良の原因となることもあり、コンディションに影響を与える場合は対策をとることが可能です。
生殖器の構造
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科「Conditioning Guide for Female Athletes 1」より引用
月経が起こる仕組みは?
月経は、「約1ヵ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」です。月経は、子宮と卵巣、さまざまなホルモンが影響し合って起こります。
- 思春期になると、脳の視床下部から性腺刺激ホルモン(GnRH)が分泌される。
- GnRHの刺激で、脳の下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌される。
- FSHの刺激を受けた卵巣では卵胞が成長し、この卵胞からエストロゲンが分泌され子宮内膜が厚くなる。
- 卵胞が約20㎜の大きさに成長しエストロゲンの分泌がピークに達すると、下垂体から黄体化ホルモン(LH)が分泌されて卵胞内に含まれている卵子が排出される。これが排卵である。卵胞は排卵後に黄体に変化してプロゲステロンを分泌し、妊娠の準備が始まる。
- 妊娠が成立しなければプロゲステロンは減少し、厚くなった子宮内膜は剥がれ落ちて子宮の外に排出され、月経がはじまる。
性周期とホルモン
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科「Conditioning Guide for Female Athletes 1」より引用
女の子のからだって、どうなっているの?
女の子のからだにある子宮と卵巣では、思春期が始まるころ(8~9さいころ)になると、少しずつおとなになってから赤ちゃんをむかえる準備が始まります。赤ちゃんの部屋になる子宮の内側は子宮内膜(しきゅうないまく)と呼ばれていて、赤ちゃんをむかえるためにふかふかのベッドの状態になります。でも、赤ちゃんができなければ、子宮内膜(しきゅうないまく)ははがれて、からだの外に出されます。これが生理です。
子宮の左と右には卵巣があります。卵巣には、赤ちゃんになるもととなる卵子(らんし)がたくさん入っていて、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの女性ホルモンを出しています。
子宮と卵巣のかたち
子宮内腔:しきゅうないくう
子宮内膜:しきゅうないまく
子宮筋層:しきゅうきんそう
卵巣:らんそう
腟:ちつ
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科「Conditioning Guide for Female Athletes 1」より引用
生理はどうやっておこるの?
生理とは、だいたい1か月ごとにきて数日間で自然に止まる、子宮内膜(しきゅうないまく)からの出血です。生理のしくみには、子宮と卵巣、いくつかのホルモンが関係しています。
- 思春期が始まるころ(8~9さいころ)になると、脳からホルモンが出る。
- ホルモンが卵巣に届くと、卵巣の中で卵胞(らんぽう)が育ち、この卵胞からエストロゲン(女性ホルモン)が出る。
- エストロゲンの働きにより、子宮内膜(しきゅうないまく)が厚くなり赤ちゃんのベッドになる準備が始まる。
- 卵胞が20㎜くらいの大きさになると卵子が卵巣の外に出る。これが「排卵(はいらん)」。
- 排卵(はいらん)のあと、卵胞からプロゲステロン(女性ホルモン)が出る。
- 妊娠しないとプロゲステロンとエストロゲンは減り、子宮内膜(しきゅうないまく)がはがれて子宮の外に出される。これが「生理」。
生理がおこるしくみ
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科「Conditioning Guide for Female Athletes 1」より引用