妊娠期・産後期の心理的課題とサポートについて妊娠期・産後の心理的課題とサポートについて

出産・育児と競技生活は両立できる?

身体の変化や、競技から離れる孤独感・焦燥感、育児と競技生活の両立など、妊娠・出産にまつわる悩みをもつアスリートは少なくありません。自分にとって大切なことは何かを考え、実現に向けてさまざまな可能性を探っていく機会だと捉えましょう。

誰でも未知のことは不安です。困ったことや悩みがあるときは、専門家に相談したり各種サポートを活用しましょう。各自治体では、産後ケアや育児支援のサービスを設けています。また、国立スポーツ科学センター(JISS)では、産後競技復帰を目指すアスリートの心理サポートを行っています。

JISSでは、産後の心理状態を定期的に評価するサポート・プログラムを実施しています。このプログラムでは、3種の質問紙を使い、その時点での心理状態をチェックします。

  1. 日本版エジンバラ産後うつ病自己評価表
    うつ症状の有無や状態をスクリーニングします。
  2. 育児感情尺度
    育児に対する感情の状態を調べます。
  3. 心理的競技能力診断検査
    アスリートとしての心理面の長所・短所を診断します。

    上記の回答をもとに専門のカウンセラーが面接を行い、選手自身が自己理解を深められるようサポートします。評価は産後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の計4回にわたって行います。

    アスリートは産後早い時期に競技復帰をすることが多く、充実した競技生活のためにも妊娠中から準備しておくことが大切です。具体的には、次のことを準備しておくとよいでしょう。

    • 復帰時期の検討および復帰計画
    • 周囲のサポートの整備
    • 預け先の確保(ベビーシッター、保育園、家族)
    • その他(授乳計画など)

    産後は体調もいろいろと変化します。「自分には関係ない」と思わず、「自分にも起こるかもしれない」と考えて準備しておきましょう。また、困ったことや悩みがあるときは、地域のサポートを利用したり、専門家に相談しましょう。

    この記事は「こどもむけ」の文章がありません。
    読みたい時は、「大人向け」にきりかえて読んでください。

    参考文献

    • 日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンスセンター 国立スポーツ科学センター. 女性アスリートをどのように支援するか~先輩アスリートの経験に学ぶ~ Ver.2(2021年2月), pp.21-23.

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