思春期女性アスリートのこころの特ちょうは?成長期・思春期の女性アスリートの心の特徴とは?

思春期の女性アスリートの心の特徴とは?

思春期のアスリートに多くみられる課題には、次のようなものがあります。
 

  1. 女性らしく変化する身体に戸惑う
  2. 月経を、「スポーツの妨げになる面倒なもの」と思う女性アスリートは少なくありません。また、「女性的でふくよか」に変化していく身体つきとスポーツで求められる身体つきが一致しないことも、その一因となります。
     

  3. できていたことができなくなり喪失感を味わう
  4. 子どもの体型でできていたプレーや技が、身体の変化に伴ってできなくなることもあります。それまで意識せず当たり前にできていた動きが突然できなくなることで、自信を無くしたり、取り戻そうと焦ることがあります。
     

  5. 心の成長を支える同年代の存在が少ない
  6. アスリートは、時間の多くを指導者やコーチなど大人と過ごすため、スポーツとは関係ない同年代の友だちと接する機会があまりありません。また、同年代のアスリートは、競技について共有できる仲間であると同時にライバルでもあるという関係も複雑です。
     

  7. 競技に過剰に適応しようとする
  8. アスリートを取り巻く環境には、従順さが求められる性質があります。また、競技の成績や周囲が求める価値観で自分を評価する傾向があります。そのため、本来の自分らしい感覚が育ちにくい状況にあるといえます。

     

    思春期の女性アスリートが克服すべきポイントは?

    思春期のアスリートは、身体の変化だけでなく、「結果が出にくい」あるいは「これまでの感覚と違う」という経験をします。また、精神面の発達に伴って、周囲に対してもこれまでとは違った感じを抱くことがあります。大切なのは、アスリート自身が、心の不安定さは思春期特有のものであることを理解すること、また試行錯誤を繰り返しながら、今の自分に適した動きや技を見つけ出し、新しい自分を確立していくことです。

思春期女性アスリートのこころのなやみとは?

思春期の女性アスリートのなやみには、次のようなものがあります。
 

  1. 女性らしく変わっていくからだにとまどう
  2. 「生理はスポーツのじゃまになるし、めんどう」だと思うアスリートはたくさんいます。また、「女性的でふくよか」なからだは、自分がなりたいスポーツのからだとちがう、ということにとまどう人も少なくありません。
     

  3. できていたことができなくなり、自信をなくす
  4. これまでできていたプレーや技が、女性らしくからだが変わるとできなくなることもたくさんでてきます。あたりまえにできていた動きができなくなると、自信をなくしたり、あせってしまいます。
     

  5. こころのなかを話せる同年代の友だちが少ない
  6. アスリートは、時間の多くをコーチなど大人と過ごします。そのため、同じ年やスポーツとは関係がない友だちと、コミュニケーションをとる時間があまりありません。同じ年のアスリートは、スポーツ仲間であると同時にライバルでもあるという関係も複雑です。
     

  7. 必要以上に、スポーツの世界に自分を合わせてしまう
  8. スポーツの世界では、コーチなど大人の言うことをすなおに受け入れるよう求められる場面が多くあります。また、競技の成績やまわりの大人の考え方で、自分のことを評価しようとします。そのため、「自分らしい」感覚を育てていきづらいといえます。

 

思春期の変化をどう乗りこえたらいい?

思春期のアスリートが経験するのは、からだの変化だけではありません。「なかなか結果が出ない」とか、「これまでの感じ方となんかちがう」など、今までと同じようにやっているのに同じにならない、となやむこともありますね。まわりの大人に対しても、「これまでとはちがうな」と思うこともあるでしょう。でも、このように感じるのは自分だけではありません。「思春期の変化はみんなにある」と知っていれば、安心感につながります。大切なことは、いろいろなやりかたを試しながら、今の自分に一番合う動きや技を見つけ出し、新しい自分として成長していくことです。

参考文献

  • 江田香織・関口邦子・秋葉茂季(2017)来談する思春期トップアスリートの心理的特徴および心理的発達過程. スポーツ精神医学, 14, 13-26.
  • 江田香織(2020)女性アスリートにおけるメンタルサポート. 日本臨床スポーツ医学会誌, 28, 152-152.
  • 江田香織(2019)知っておきたい女性アスリートの心理的特徴. 体育の科学, 64, 26-31.

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