女性アスリートの三主徴(さんしゅちょう)とストレス女性アスリートの三主徴とストレス

女性アスリート特有の健康問題とストレスの関係は?

女性アスリート特有の健康問題に、次の3つがあります。

  1. 利用可能エネルギー不足
  2. 運動性無月経
  3. 骨粗しょう症

これを「女性アスリートの三主徴(Female Athlete Triad:Triad)」と呼びます。過度な食事制限や継続的な激しいトレーニングで摂取エネルギーが不足することで起こりますが、ストレスがこれらの症状の引き金になることもあります。例えば、体重コントロールで「食べたいものが食べられない」「体重が減らない」などのストレスがあると、摂食障害や月経障害につながることがあります。
また、ストレスはTriadの原因となるだけでなく、Triadが新たなストレスを生み出す原因にもなります。新体操の選手を対象とした研究では、Triadの自覚症状があると、パフォーマンス低下や実力を発揮できないことにストレスを感じ、気分が落ち込みやすいという報告があります。
Triadを未然に防ぐためにも、心の健康を保つことが重要です。

心を健康に保つ方法は?

水が半分入ったコップを見て、「まだ、こんなに残っている」とポジティブに捉えるか、「これだけしか残っていない」とネガティブに捉えるか、どちらの方がストレスを感じやすいでしょうか。
ストレスを減らしたり受け入れるために、出来事の捉え方や行動を変える努力を「ストレスコーピング(ストレス対処)」といいます。女性アスリートを対象とした研究では、ストレスとなる出来事を考えないようにしたり、問題解決を先延ばしにするといった“回避型コーピング”より、「うまくいかないこともある」と捉えたり、ストレスの原因を明確にして、積極的に問題解決に取り組む方がストレスの低減につながることが報告されています。物事を肯定的に捉えることも、心を健康に保つ方法の一つです。ぜひ活用していきましょう。

ストレスは健康に関係する?

女性アスリートでは、次の3つのからだの問題がよくみられます。

  1. からだが使えるエネルギーが足りなくなる
  2. 生理が来なくなる
  3. 骨がもろくなる

この3つを「女性アスリートの三主徴(さんしゅちょう)」といいます。食事を制限したり激しいトレーニングで食事からとるエネルギーが足りなくなるとおこりますが、ストレスが原因になることもあります。
減量で食べたいものが食べられなかったり、体重が減らなくてストレスを感じると、食事の食べ方に障害が出たり、生理に異常がおきることがあります。また、パフォーマンスが下がったり、実力を発揮できないことでストレスを感じて、気分が落ちこみやすくなるという報告もあります。
ストレスは女性アスリートの健康とつながりがあります。こころを健康に保つことが大切です。

こころを健康に保つ方法は?

水が半分入ったコップを見て、「まだ、こんなに残っている」と前向きに考えるか、「これだけしか残っていない」と後ろ向きに考えるか、どちらがストレスを感じやすいでしょうか。
ストレスを減らしたり受け入れるために、考え方や行動を変える努力をすることを「ストレスコーピング」といいます。女性アスリートを対象に調べたところ、ストレスになることを考えないようにしたり、問題解決をさけるより、「うまくいかないこともある」と考えたり、ストレスの原因をはっきりさせて、解決しようと積極的に取り組む方が、ストレスが減るという結果でした。こころを健康に保つ方法として、物事を前向きに考える方法を活用してみましょう。

参考文献

  • 煙山千尋, 大城順子, 尼崎光洋. 新体操選手を対象とした女性アスリートの三主徴に関する研究 -実態調査及び自覚症状の有無によるストレッサ-, ストレス反応得点の差の検討ー. 岐阜聖徳学園大学紀要. 教育学部編, 59: 31-38, 2020.
  • 煙山千尋, 尼崎光洋. 女性スポーツ選手のストレッサーとストレス反応, Female Athlete Triad との関連. ストレス科学研究, 28: 26-34, 2013.
  • 煙山千尋. 女性アスリートのストレス. ストレス科学研究, 34: 3-8, 2019.
  • 煙山千尋, 尼崎光洋. 女性スポーツ選手の競技ストレスモデルの構築-Female athlete triad の有無による影響性の差異の検討. 岐阜聖徳学園大学紀要. 教育学部編, 54: 137-142, 2015.
  • 煙山千尋, 尼崎光洋. 女性スポーツ選手のストレスコーピング方略がストレス関連成長に与える影響. 岐阜聖徳学園大学紀要. 教育学部編, 55: 119-125, 2016.

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