利用可能なエネルギー不足による無月経の治りょうは?~女性アスリートの三主徴(さんしゅちょう)を治す~「スポーツにおける相対的エネルギー不足 (REDs)」と「女性アスリートの三主徴(Triad)」の治療法は?

利用可能エネルギー不足の治療法は?

利用可能エネルギー不足に伴う無月経の治療は、エネルギー摂取量(食事量)を増やす、かつ運動によるエネルギー消費量(運動量)を減らすことにより、利用可能エネルギー不足を改善することです。ホルモン療法がまず行われる治療ではありません。
利用可能エネルギー不足の改善を行ってもホルモンの値に改善がみられない場合や、自然月経が再開しない場合、また骨密度が低い場合などは、エストロゲンを補充するホルモン療法を行うケースがあります。ホルモン療法を行う際は、低用量ピルではなくパッチなど、皮膚から吸収する薬剤を使います。重要なことは、ホルモン療法を行っている場合も、食事による利用可能エネルギー不足の改善は継続していくことです。

エネルギー不足の改善のためには?

利用可能エネルギー不足について、アメリカスポーツ医学会や国際オリンピック委員会は以下の指針を出しています。いずれも、「ホルモン療法が第一選択ではなく、重要なことはエネルギー不足の改善である」としてます。また、利用可能エネルギー不足に伴う無月経のアスリートでは、炭水化物の摂取量が不足していることが明らかになっているため、炭水化物を中心にエネルギー摂取量を増やしていくことが重要となります。

アメリカスポーツ医学会

  • 最近減少した体重を回復させる
  • 成人はBMI18.5以上を目指す
  • 思春期は標準体重の90%以上を目指す
  • 最低2,000kcal/日以上を摂取する
  • 300~600kcal/日エネルギー摂取量を増やす(2,000kcal消費している場合)

国際オリンピック委員会

  • 300~600kcal/日エネルギー摂取量を増やす

エネルギー不足によって月経が止まった場合は、薬で生理をおこす治療ではなく、エネルギー不足を改善する治療を行います。食事からとるエネルギー量を増やすと同時に、運動で使うエネルギー量を減らして、エネルギーバランスを改善することが必要です。
それでも生理がこない場合や骨密度が低い場合は、エストロゲンをふくむ薬を使う場合があります。このときも、運動量に見合った食事をとり、エネルギー不足の改善は、続けて行っていくことが大切です。

利用可能なエネルギーを増やす食事のポイントは?

エネルギー不足による無月経のアスリートでは、炭水化物をとる量が少ないことがわかっています。炭水化物を中心にエネルギー量を増やすようにしましょう。参考までに、アメリカスポーツ医学会では次のように定めています。

アメリカスポーツ医学会

  • 最近減った体重を回復させる
  • 成人はBMI 18.5以上を目指す
  • 思春期は標準体重の90%以上を目指す
  • 最低2,000kcal/日 以上をとる
  • 200~600kcal/日 エネルギーの量を増やす(2,000kcal消費している場合)

国際オリンピック委員会

  • 300~600kcal/日エネルギー摂取量を増やす

参考文献

  • 東京大学医学部附属病院女性診療科・産科「Conditioning Guide for Female Athletes1」p.34~40.

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